ゾーニングによる内水面の釣り場整備が進む中国。 釣り界交流による日中互恵関係に期待しています。
訪日観光客数がここ数年で急増しています。日本政府が観光誘致に積極的に取り組んでいることや、円安が進んだこともありますが、日本のモノ作りやさまざまな文化の魅力もその要因といえるでしょう。
私自身は長年観光産業に従事してまいりました。JB・NBC本部がある富士河口湖町は日本有数の観光地であり、この地域の観光PRに取り組んできただけに、観光客の増加はたいへんうれしく思います。海外からのツアー客がいなければ、現在のこの伸びは絶対にありません。
釣り界の発展においても、私はかねてから国際交流が不可欠だと言い続けてきました。特に中国においては経済面において太いパイプで繋がり、釣り具等の製造もまた然りです。
私は今後、釣り人の日中交流がますます盛んになると予想しています。それは中国の釣り場(内水面のバスフィールド等)のクォリティーが向上しているからです。日本にはクォリティーの高い製品を目当てにたくさんの中国人観光客が押し寄せていますが、その逆で日本から中国へバスフィッシングツアーが組まれる日が近いと感じています。
昨年末に中国からの招待で上海や雲南省(昆明)を訪れ、その思いがさらに強くなりました。今回の訪中は観光交流の促進が主目的でしたが、太湖周辺を中心にいくつかの釣り場も視察してきました。
中国では貯水池が個人で借りられる環境下にあり、外来種のゾーニングに関しては日本よりも柔軟に進められています。今現在もそうですが、今後もプライベイトレイクとして管理されるフィールドが増え、大規模な管理釣り場がいくつも誕生すると考えられます。
中国はその国土の広さだけでなく、内陸部はチベットまで続く奥深さです。今回訪れた雲南省や上海など中国南部を流れる長江(下流域は揚子江)はアジア最長の河川で、その流域だけでも相当数の貯水池や自然湖が点在します。内陸部が広い国土ゆえに内水面の釣りは今後ますますレジャーとして注目されるでしょう。
もちろん中国にも外来種問題は存在しますが、ゾーニングによってしっかりとバスフィールドが管理されれば、中国の内水面の釣りは日本の80年代後半から90年代のころ以上のマーケットの広がりが期待できます。
人が行き来することで日本の進んだ釣り技術や情報を発信することができ、日本の釣り具産業にもプラス面は多いでしょう。釣り場が増えることで釣り人が増え、当然ながらマーケットが広がることから日本の釣り具メーカーもこの10年は『売り先』として中国に目を向ける時期でしょう。
私はトーナメントの運営システムをぜひ中国に輸出したいと考えています。そのこと自体は直接ビジネスに結び付きませんが、JB・NBCトーナメントルールに則った環境で安心して楽しめる釣り場が中国で誕生したなら、日中のバスフィッシング交流に大きく貢献できると考えています。
日本においてもブラックバスのゾーニングは今後の課題です。釣り界の未来図は釣り場環境で大きく変化することが中国を見ていてもよく分かります。国内においても、可能な限り釣り場のクォリティーを高められるように努力していきたく考えています。
2016-03-13 前の画面へ戻る